Kaizen Platform でプロダクトマネージャーをしている Kawabe です。 社内で「ミーティングしませんDay」(以下、MtgしませんDay) という制度を試験導入してみたのでその話について紹介したいと思います。
TL;DR
- 社内での非同期時間の生産性を向上するために「MtgしませんDay」を試験導入した
- 木曜午後のみ、社内 MTG の開催 と Slack で相手に即時の応答を求めること を非推奨とした
- 生産性が倍増(当社比)、社内アンケート結果も好評だったので継続して実施中
「MtgしませんDay」誕生の背景
組織の時間を有効に使うには、大きく3つの打ち手があります。 スタートアップにとって最も貴重な資源である「時間」を有効活用するため、Kaizen Platform では日々の仕事の進め方を改善して、生産的に働けるように努力をしています。
- 同期時間を減らす
- ミーティングを減らしたり、参加人数を絞ることが該当します。
- 同期時間の質を上げる
- ミーティングの建付けを再整備したり、準備をしっかりおこなうといったことが該当します
- 非同期時間の質を上げる
- 今回の施策はコレです
今回は 非同期時間の質を上げる ために、まとまった時間を捻出するための取り組みを考えましたが、はじめに、まとまった時間を捻出することがなぜ大事な理由について紹介します。
まとまった時間を捻出することがなぜ大事か?
何かをしている最中に割り込みが入ることは、皆さんが思っている以上に生産性を阻害します。
生産性の高い企業は仕事への割り込みを最小にする
ピーター・ドラッカーが指摘するように「時間は大きなまとまりにする必要がある」。 「報告書の作成に6時間から8時間を要するとする。しかし1日に2回、15分ずつを3週間充てても無駄である。得られるものはいたずら書きにすぎない。ドアに鍵をかけ、電話線を抜き、まとめて数時間取り組んで初めて、下書きの手前のもの、つまりゼロ業案が得られる。時間は大きなまとまりにする必要がある。小さなまとまりでは、いかに合計が多くとも役に立たない」
「人のために時間を数分使うことは、まったく非生産的である。何かを伝えるためにはまとまった時間が必要である。計画や方向づけや仕事振りについて、部下と15分で話せると思っていても、勝手にそう思っているというだけのことである。肝心なことを分からせ、影響を与えたいのであれば、一時間を必要とする」
この事実に関して、まったく無頓着な上司やマネジャーが数多くいることを私たちはよく知っている。
- 上司が部下に対して、作業中に遠慮なく話しかける
- 予定にない会議を頻繁に繰り返す
- メールに対して即時の返信を求める
- メールや掲示板で済むことを電話や会議で行う
仕事への割り込みを極力小さくしなければ、生産性の向上は見込めない。
社内 Qiita:Team の投稿より引用
ですので、プロダクト開発においてはより価値の高い製品に昇華させるには、表面上の工数の見積もりよりも、時間的な幅があったほうが絶対によいし、日々の仕事のサイクルの中でも会議が断続的に行われて割り込まれるようなことはなるべくさけて、まとまった時間を確保できるようにする、ということはすごく大切なことだと思っています。
エンジニア行動指針の中に
非同期に働く。フロー状態の同僚を邪魔しない
という一文を入れたのは上記のようなことを強く意識しています。
自分にまとまった時間を作るだけでなく、相手がまとまった時間を確保できるように配慮する。それが結果的に組織的なまとまった時間につながると思います。これを達成するには、ただ単に相手の邪魔をしないということだけでなく、人にちょっと聞けばわかりそうなことも一端ぐっと堪えて飲み込んでまずは自分自身で解決することを考えてみる、という態度を是とする必要があります。同時に、高い目標について皆でそれを確認しながら、それについて慌てずじっくり考え続ける、ということも大切です。
こういう考え方を大事にするチーム、組織、会社にしていきたい、そうであってほしいなと思います。
ということで、まとまった時間を捻出するために「Mtgをしない時間帯」を試験導入することにしました。 初期フェーズでは、開発部においてミーティングを招集することが多いプロダクトマネージャー同士で実施していましたが、2 人では困難なので組織的に取り組んだのが今回の施策が生まれた背景です。 とはいえ全てのミーティングを禁止にすると業務に支障がでる可能性もあるので、あくまで「非推奨」としています。
「MtgしませんDay」の過ごし方ガイドライン
対象は木曜日の 13:00~18:00 の時間帯とします
- 社内 MTG は基本的には入れない
- 障害対応など、やらなきゃいけないものはやる
- 他に時間がどうしてもとれない場合はやる
- 社外 MTG は OK (お客様は最優先、採用面接も優先)
- ただし積極的にはその時間を狙わない。他時間の選択肢があるなら、そうする。
- 相手に即時の応答を求めない
- Slack に即レスしなくても怒らない
- イヤホンをしている人には直接話しかけず、Slack する
この時間にやるのを推奨すること
- 中長期の戦略策定
- ドキュメンテーション、言語化作業
- 分析作業
- など
予め、この時間にやることを計画しておくと良いです。
この時間にやるのは非推奨なこと
貴重な「まとまった時間」を有効に使うことが目的なので、短時間でできる単純作業は避けましょう。 例えば経費精算などの事務作業などが該当するかと思います。
「MtgしませんDay」 アンケート結果の抜粋
- 総括
- 取り組みへの評価は、概ね良い印象
- 割り込みはあったものの、木曜日の時間の使い方は 7 割の人が変化があったようです
- 元々ミーティングが少ないエンジニアと比較すると、カスタマーサクセスにより変化が大きいようです
- より良い取り組みにしていくためには?
- 期間中は極力 Slack も使わないようにする (この結果からガイドラインが更新されました)
- 全社的な取り組みにする
- 参考までに時間の使い方の工夫についても聞いてみた
- ポモドーロ・テクニックを使っているという方が 2 人いた
最後に、現場の声として、同じくプロダクトマネージャーとして働いている takus の発言を引用させていただきます。
木曜は集中Dayとして、原則 MTG しない Slack も緊急時以外は対応しないというのを組織的に試してみてるけど、想像以上に捗る感じがする。
— takus ⚽️ (@takus_ja) 2018年2月22日
まとめ
自分にまとまった時間を作るだけでなく、相手がまとまった時間を確保できるように配慮する。 それが結果的に組織的なまとまった時間につながり、よりよい仕事の成果に繋がるのではないかと思います。