プロダクトに関することを全部やる。それが、プロダクトマネージャー

皆様お久しぶりです。Kaizen PlatformでCTOをやっている渡部です。

先日、プロダクトマネージャーというキャリアについてインタビューをいただきました。 eng.kandc.com

良い機会なので、プロダクトマネージャーとしての仕事観と、これまで Kaizen Platform でやってきたことを振り返ってみたいと思います。

プロダクトマネージャーの仕事は企画職?

アイデアに価値はない、実行にこそ価値がある

Google創業者のラリー・ペイジさんも言っています。 アイデア自体には(その時点では)価値はなくて、より良い形で実現するための実行(エクセキューション)にこそ価値があるのだと。

プロダクトを何のために作るのか? という問いに皆さんは答えられますでしょうか? いろんな答えがあっていいと思いますが、私は迷わずこう答えます。

「事業を伸ばすためです」

マネタイズの方法は色々あると思うので「お金を稼ぐ」じゃなくてもいいと思います。 でも、事業を伸ばして、それが最終的に事業の再投資につながる循環を作ることで事業は成長します。

「こんな画期的な機能を思いついた」と言っているだけでは、まさに絵に描いた餅です。腹は膨れません。

プロダクトのアイデアはプロダクトチーム外からもたらされることもあります。天才的な社長がひらめくこともあるでしょう。 (もちろん、プロダクトチームからアイデアが生まれることもあります)

そう考えると、「アイデア」を生み出すのはプロダクトマネージャー固有の仕事ではない、と言えると思います。 (その事業に関わるすべての人が出していいと思うんですよね、アイデア)

そのアイデアを実現させることが、プロダクトマネージャーの仕事なんじゃないかと思うんです。

リソースが十分提供されている事なんか、一度もなかった

「実現」の話にうつるまえに、ちょっとした経験談を話します。 これまで様々なプロジェクトに関わってきました。私のロールは様々で、だいたい以下のようなバリエーションが有りました

  • エンジニア
  • リードエンジニア
  • エンジニアマネージャー
  • プロダクトオーナー

結論から言いますと、どんなプロジェクトも常にカツカツ、というかそれを超えて火の車状態でした。例外はありません。 でもこれって冷静に考えてみるとまぁよく分かる話で、特にスタートアップとかだと

  • やりたいことはいっぱいある
  • 当然人は常に足りてない

ということが常態化されてますし、仮にプロジェクトが順調に行っていても、

  • もっといいものを
  • もっと早く

という思いはつきません。より良いものを出して、事業を前に進めようとすると欲が出るものです。(ちゃんと管理はすべきなのですが、そういう力学が働いている環境だと思います)

結果として、リソースが十分に提供されていてあとは詰将棋、みたいなプロジェクトは存在しなくなります。

実現するために、やれることは何でもやる

「実現」の話しに戻ります。上述のように、

  • リソースは足りない
  • 実現精度をあげるために、やりたいことはたくさんある

という状況なので、どうしても

やりたいこと > できること

という図式が生まれます。そして、エンジニアは集中してもらったほうが良いものができると一般に言われているので、エンジニアへの差し込みは極力増やしたくありません。

じゃぁどうする

そう、「よーしとりあえず俺やる! よくわからんけどやってみる!!」 となることがしばしばあります。プロダクトマネージャーの宿命だとおもっています。でもしょうがないじゃないですか、いいもの作りたいんだもの。

あ、もちろんですね、ちゃんとプロジェクト管理したりそういうことはしますよ。そっちの時間の方が支配的ですよ。きっと。でもさ、なんか常に色々走り回ってる気がしますよ。

結論

結論として、世間一般でいうところの「企画系職種」かというとちょっと疑問なんですよね。 最近社内で他の職種からプロダクトマネージャーに転向された方がいるんですよね。その人には

プロダクトマネージャーはプロダクトに関することを全部やる球拾い」くらいに考えておいてください。

と転向前に言っておきました。そんなに外れてないと思います。 でも、ものを作ってユーザーに届けるには、本当にいろんな事が必要になります。誇りを持って、珠を拾います。 そして日々のカオスを楽しみながら仕事をしています。

Kaizen Platformで僕がやった例

KAIZEN Salesを作る

抽象的な話を長くしてしまったので、実際に僕がやったことの実例をご紹介してみますね。KAIZEN Sales というサービスを昨年(2020年)にリリースしました。企業様の営業活動を「SaaS+動画」でご支援するサービスです。

kaizenplatform.com

今の形になる前に、新サービスなのでプロトタイピングをしていました。実際にお客様の業務で使っていただいていたので、プロトタイプというよりβ版という位置づけが近いかもしれません。

その時のお話をちょっとさせていただきますね。

当然、リソースはない

このプロジェクトは、以下の3人で始まりました。

  • 事業責任者 (兼 営業 兼 事業開発 兼 プロダクト以外のこと全部)
  • プロダクトオーナー 兼 プロジェクトマネージャー
  • プロダクトマネージャー兼エンジニア (これが私です)

私は、実際にプロダクトのアイデアを出しながらそれを(ミーティングの合間やミーティング中の内職で)実装するということをしていました。

得意を活かす

なぜ私が、プロダクトマネージャー兼エンジニアをやったのか、というと

  • すべてのエンジニアが他のプロジェクトにアサインされていた

という台所事情が一番大きいのですが、私はエンジニア出身(というか現在も本業はエンジニアのつもりではいますが)のプロダクトマネージャーなので、自分の得意なことを活かしながらプロダクトに関することを全部やるを実行したに過ぎません。

活躍しているプロダクトマネージャーの方々をみていると、もともとプロダクトマネージャーとしてキャリアを積まれてきた方って少ない気がします。他の職種をある程度極められてから、プロダクトのことに関わっていって、いつの間にかプロダクトマネージャーになった方が多い気がするんですよね。

そうするとその人それぞれの「得意」があって、それを活かしながらプロダクトを実現していっているので、そういう人がプロダクトマネージャーをやってると実現できることの幅が広がって良いプロダクトが生まれるのかな、と思ったりします。

私の場合はそれが「エンジニアリング」なので結構活用しています。

チームに引き渡す

ちなみに、KAIZEN Salesは今はちゃんとエンジニアがアサインされていますし、私が作ったプロトタイプはすべて破棄されて新しく作り直しています。基本的にはチームでフォーメーションを組んでやるのが一番良いです。でも、そういうときばかりじゃないよね、といことでこんなこともありましたというご紹介でした。

ものづくりが好きで、カオスをこそ楽しめる、でも成功の喜びはチームで共有する、そんなことが好きな人はプロダクトマネージャーに向いてるんじゃないかと思います。

おわりに

おすすめの書籍

スタートアップにおけるプロダクトマネージャーのリアルがよく分かる本だと思います。大好きな本です。

サルたちの狂宴(上)

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サルたちの狂宴(下)

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